【外壁塗装・屋根塗装】下塗り=塗装で失敗しないための重要工程

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塗装で失敗しない近道、それは「塗装前の下地処理・下塗り」を如何に丁寧に行うかです。この工程で7割は決まるといっても過言ではありません。
今回は塗装業界で施工会社が下塗りを重要視する理由や、下塗りを怠った場合にどんな不具合が起こるのかをご紹介します。

 

目次

 

下塗りの役割

下塗りには様々な役割があります。

1つ、上塗り材の吸い込みを抑えて塗料が全体へ均等に塗ることができるような下地の役割。上塗り材の機能を発揮させるには十分な塗布量が必要不可欠です。簡単に言うと、劣化して防水効果が低下した外壁材は水分を吸収したいので塗料をも吸収してしまいます。メーカーの定めた仕様を守る施工会社では下塗り材をその吸収がなくなるまで塗るため、次に塗る上塗り材の機能が発揮されるのです。
2つ、数ミリのひび割れ補修の役割。目に見える大きなひび割れにはシーリングやパテなどで補修をしなければなりませんが、幅0.03ミリ以下、深さ4ミリ以下の「ヘアークラック」と呼ばれる小さなひび割れには、下塗り材の塗布で補修が可能です。ひび割れの進行を予防する重大な役割を果しています。
3つ、外壁・屋根と上塗り材の密着力を高める接着剤の役割。1つ目に挙げた「吸い込みを抑える」ことで適正な塗布量の証明となり、上塗り材の密着力が高まり、塗装が剥がれにくい外壁・屋根となります。逆に塗布量が不十分な場合は接着剤の役割を果たせず、塗装が剥がれやすい外壁・屋根になってしまうのです。

この主な下塗りの役割3つはどれも適正な塗布量を守ってこそ発揮される機能であるため、適正な必要缶数の計算、施工会社・職人の打ち合わせ、工事中の検査が重要視されます。

①洗浄
(下地補修)
②下塗り
③上塗り

 

施工会社が下塗りを重要視する理由

材質と下塗り塗料の相性


※ベストホームの仕様

屋根 コロニアル

(通常仕様)
サーモテックシーラー(白)1回目
サーモテックシーラー(グレー)2回目
→上塗材2回

(無機ハイブリットコート仕様)
HBプライマーJY ×2回

セメント瓦 (通常仕様)
サーモテックシーラー(白)1回目
サーモテックシーラー(グレー)2回目
→上塗材2回
モニエル瓦

(通常仕様)
エポプレミアムシーラープライマー(白)×2回
→上塗材2回

(旧塗膜が水性塗料か油性塗料か不明な場合)
モニエルパワープライマー ×2回

外壁 サイディング (通常仕様)
エポパワーシーラー 1回目
ホワイトフィラーAⅡ 2回目
→上塗材2回
金属

(通常仕様)
※ケレンでの十分な下地処理で密着効果を高める
エポパワーメタルJY(白orグレー)×1回

(ガルバリウム鋼板のサビなし仕様)
サーモテックメタルプライマー ×1回

モルタル

(通常仕様)
エポパワーシーラー 1回目
ホワイトフィラーAⅡ 2回目
→上塗材2回

(肌合わせ仕様)
ホワイトフィラー ×1回
※柄をつけるマスチックローラー使用

屋根 コロニアル

(通常仕様)
●サーモテックシーラー(白)1回目
●サーモテックシーラー(グレー)2回目
→上塗材2回

(無機ハイブリットコート仕様)
●HBプライマーJY ×2回

セメント瓦 (通常仕様)
サーモテックシーラー(白)1回目
サーモテックシーラー(グレー)2回目
→上塗材2回
モニエル瓦

(通常仕様)
●エポプレミアムシーラープライマー(白)×2回
→上塗材2回

(旧塗膜が水性塗料か油性塗料か不明な場合)
●モニエルパワープライマー ×2回

外壁 サイディング (通常仕様)
●エポパワーシーラー 1回目
●ホワイトフィラーAⅡ 2回目
→上塗材2回
金属

(通常仕様)
※ケレンでの十分な下地処理で密着効果を高める
●エポパワーメタルJY(白orグレー)×1回

(ガルバリウム鋼板のサビなし仕様)
●サーモテックメタルプライマー ×1回

モルタル

(通常仕様)
●エポパワーシーラー 1回目
ホワイトフィラーAⅡ 2回目
→上塗材2回

(肌合わせ仕様)
●ホワイトフィラー ×1回
※柄をつけるマスチックローラー使用

 

ポイント

主要な外壁・屋根をピックアップしましたが、6種類の材質だけでもこれだけ仕様に違いがあります。適さない下塗り材を選んでしまうと早期不具合の要因になるため、担当営業マンの知識が必要不可欠です。その上「この材質だからこの下塗り材」と断定できないのが現状です。まず材質・劣化状況に応じて材料を選ぶことが塗装から3年、5年、10年以上…どれくらい長持ちするのかを左右するといっても過言ではありません。上塗り材の密着力を高める前に、下塗り材の密着力も高めなければならないため、高圧洗浄や下地補修など、皆さまが思っている以上に各工程が密接に関係しあっているのです。

 

材質によって適切な下地補修方法・使用可能な塗料が異なる
=工事費用が仕様によって変動する


 

塗り回数と塗布量


 

塗布量不足


※十分な塗膜の厚み(膜厚)が確保されていないため、数年後に早期の剥がれや色褪せが出てくる。

適正塗布量


※十分な塗膜の厚み(膜厚)が確保されていないため、塗料の効果を発揮することができる。

 

ポイント

「塗布量不足」図のように、劣化の激しい箇所の外壁・屋根に1回のみ下塗りをする場合、外壁材・屋根材が下塗りを吸い込んでしまいます。吸い込んだまま上塗りをしてしまうと、塗装後すぐの見た目はキレイでも早期不具合に直結します。
施工会社が現状を見極め、職人へ的確な指示を行い、指示書通りの適正塗り回数で適正塗布量を守ることが重要です。

※塗り回数が多くても、1回あたりの塗布量が少ないと意味がありません。詳しくは「塗装業界のカラクリ~〇回塗り~」をご覧ください。

 

実際の不具合事例

剥がれ


剥がれの原因は経年劣化、もしくは前回塗装時の下地処理の不備、下塗り不足などが挙げられます。剥がれた部分は保護してくれるものが何もないため、建物自体の劣化を進めることにつながります。タッチアップの際も、適した塗料で行うよう注意してください。

色あせ


色褪せは経年劣化、もしくは前回塗装時の下塗り不足、選んだ色や塗料の性能によって進行スピードが異なります。色褪せが進行する=防水効果が低下しているという合図なので、美観を維持と共にメンテンンスすることをお勧めします。

 

いずれもいつかは起こりうること
しかしできるだけ長期間保つために良い施工を提供したい


 

最後に

正直に申し上げると、下塗り回数が1回でも2回でも、塗布量が足りていても足りていなくても、塗装直後の仕上がりに差はほとんどありません。差が出てくるのは施工して数年経過した時です。 その時に「失敗した…」「施工した会社に連絡しても全然対応してくれない」となってもその時はすでに遅いのです。
塗料は「半製品」です。いくら良い塗料でも職人が手を加えることによって初めて「製品」として形になります。 車や家電のように出来上がった商品をご提供するのではなく、現場で1工程1工程施工を行い完成していく完全オーダーメイド商品です。
使用する塗料が同じであっても会社の工事に対する考え方や施工の品質、職人の技術や経験・気持ち等で予算も違えば、仕上がりや耐久性も大きく変わってきます。使用する塗料も大事ですが、塗装は何を塗るかよりも塗装の厚みが重要です。 いくら良い塗料でも、規定よりも薄ければ本来の耐久性も発揮できません。塗料メーカーの規定通りに上塗りの厚みをつけるために、しっかりと下塗りの段階で下地の塗料の吸い込みを防ぎ、上塗りでしっかりと膜厚を確保することで長く快適に住めるお住まいにしていきましょう。

この記事を書いた人

代表取締役 戸髙

 

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