2025/07/04

歴史の重みを感じさせる古民家を、現代の快適な住まいに再生するリノベーション。デザイン性の高さや持続可能な暮らしへの関心が高まるなか、古民家再生は「住まいの再発見」として注目されています。

しかし、築年数が古く構造や設備の補修が多くなるため、一般的な住宅リフォームに比べてコストがかさむ傾向があります。そんな中で活用したいのが、自治体や国が用意する補助金制度です。

今回のお役立ちコラムでは「北九州の古民家リノベーションで使える補助金」について解説します。

古民家リノベーションとは？特徴とよくある悩み

近年、空き家問題や地域資源の有効活用という視点からも注目されるようになった古民家の再活用。しかし実際にリノベーションを進めようとすると、予想以上の費用や制限に直面し、計画を見直さざるを得ないケースも多く見られます。

まず、古民家とはどのような建物か、どのような点で通常のリフォームと異なるのかを確認しながら、リノベーション時に直面しやすい課題と、補助金活用の意義について整理していきます。

●●古民家の定義と戸建て住宅との違い

「古民家」とは、一般的に築50年以上経過した日本家屋のことを指します。北九州市内でも、昭和初期〜戦前に建てられた木造住宅や、かつての商家・農家建築が古民家として数多く残っています。

現代の戸建住宅と異なり、太い柱・梁による伝統構法、漆喰壁や瓦屋根などが特徴で、耐久性や調湿性能に優れる反面、建築基準法の改正以前に建てられた建物も多く、安全性や断熱性能が不足しているケースも珍しくありません。

このため、一般的なリフォームとは異なり、構造補強や耐震改修、断熱性能向上など、基礎的な工事が必要になる点が大きな違いです。これが工事費を押し上げる要因でもあり、補助金の対象にもなりやすいポイントとなっています。

●●リノベーションで発生しやすいコストと課題

古民家リノベーションでは、表面的な美装工事に加えて、見えない部分の改修コストが想定以上にかかることがあります。たとえば床下のシロアリ被害、柱や梁の腐食、配管や電気設備の老朽化などが代表例です。

また、古い建材を活かしながらの施工には高度な技術と手間が必要で、工期が長引くことで人件費も増大します。さらに、断熱・防音などの現代的な性能を確保するには、壁や窓の構造そのものに手を加える必要があり、これも費用増につながります。

加えて、建築確認や登記に関する制限がある物件では、行政との協議が必要になる場合もあり、事前調査や準備にかかる手間も見逃せません。

●●補助金活用が注目される理由

このような事情から、古民家リノベーションには行政の補助金や助成制度の活用が非常に有効です。補助金によって、工事費の一部を公的にサポートしてもらえることで、予算の余裕が生まれ、断念しがちな性能向上工事まで手が届く可能性が広がります。

また、自治体によっては、空き家対策・移住促進・地域景観の保全を目的とした支援策が充実しており、北九州エリアでもいくつかの市町村で独自制度が整備されています。

補助金を使うことで「住まいを残す」「地域を守る」といった観点からも、大きな意義あるリノベーションが実現できるのです。

北九州で使える古民家リノベーション補助制度一覧

北九州エリアでは、古民家の保存や活用を目的とした補助金制度が、自治体・県・国の複数レベルで実施されています。制度によって補助対象や申請条件が異なるため、自身の物件や工事計画に合う制度を選ぶことが重要です。

2025年時点で活用可能な、代表的な補助制度を3つご紹介します。これらの制度は単独でも有効ですが、工事内容によっては併用が可能なケースもあるため、事前確認を忘れずに。

●●北九州市の住宅リフォーム支援（旧家・伝統建築向け）

北九州市では、住宅リフォーム全般を対象とした「住宅リフォーム支援事業」のなかで、旧家や伝統構法の住宅に対しても補助が受けられる枠組みがあります。特に「住環境の向上」や「耐震・断熱性能の改善」を目的とした工事であれば、補助対象となる可能性が高くなります。

補助内容は、工事費用の10％相当（上限20万円前後）が基本で、申請前に市内業者との契約が必要です。さらに、築年数や地域性によっては評価加点があるため、古民家はむしろ優遇される傾向があります。

詳細は例年、4〜6月頃に北九州市の公式ホームページで発表されるため、春先から情報収集を始めておくとスムーズです。

●●福岡県の木造住宅耐震改修補助

築年数の古い木造住宅では、耐震性能が基準を満たしていないことも多く、安全性の観点からも補強が求められます。福岡県では、こうした住宅に対し「木造住宅耐震改修補助制度」を通じて、耐震診断と改修費用の一部を支援しています。

補助金額は耐震診断に数万円、耐震改修には数十万円が支給される仕組みで、北九州市を含む県内各市町村と連携して運用されています。古民家リノベーションの中で、耐震補強が必要な場合はこの制度の併用が効果的です。

制度の対象となるのは、概ね1981年以前に建てられた在来工法の木造住宅。申請には事前の構造チェックや耐震診断が必要となるため、早めの段取りが求められます。

●●移住・定住促進を目的とした市町村支援（例：門司・若松）

北九州市内の一部エリア（門司・若松・小倉南など）では、空き家の活用や移住・定住を促すための独自の補助制度を設けているケースがあります。特に「空き家バンク」に登録されている古民家を購入・改修する場合、改修費の一部補助が受けられることがあります。

たとえば門司区では、地域活性化を目的とした「歴史的建築物の保存活用」モデル事業を実施しており、条件を満たせば数十万円単位の補助が得られるケースもあります。若松区では、移住者向けの空き家取得＋改修支援がセットになった制度が運用されています。

これらの制度は年度ごとに内容が更新されたり、地域限定だったりするため、各区役所やまちづくり協議会への相談が必須です。

補助金活用のポイントと注意点

古民家リノベーションで補助金を活用する際は「申請さえすれば通る」といった簡単なものではありません。補助金ごとに目的・条件・評価基準が異なるため、工事内容や時期、申請手続きの段取りをしっかり押さえておく必要があります。

よくある失敗を避けるために知っておきたいポイントを整理します。

●●申請のタイミングと施工前の事前確認

もっとも重要なのが「申請は工事契約前に行う」という原則です。ほとんどの補助金制度では、契約日または着工日より前に申請を済ませていないと対象外となります。

工事を急ぐあまり、申請手続きを後回しにしてしまうと、せっかくの補助金が受けられなくなるため、リノベーション計画の初期段階から補助制度の条件を確認しておくことが鉄則です。

また、補助金によっては「補助対象業者が市内登録業者であること」「指定の様式での見積書提出」など細かい指定があるため、事前に工務店と条件を共有しておくことが重要です。施工業者選びも、制度適合性を加味して行いましょう。

●●工事内容に求められる「性能向上」の基準

外観を美しく仕上げるだけの改装では、多くの補助金は適用されません。多くの制度は「住宅の性能向上」すなわち、耐震性・省エネ性・バリアフリー性の向上といった要素を求めています。したがって、以下のような工事内容が評価されやすくなります。

・耐震補強（筋交い増設、金物補強など）
・断熱性能向上（断熱材の追加、窓の断熱化など）
・省エネ塗装や遮熱・防水性能の強化
・段差解消や手すり設置といった高齢者対応改修

とくに「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などは、工事内容が性能評価基準を満たしているかどうかで補助の可否が決まるため、設計段階での専門家の関与が重要です。自力申請が難しい場合は、対応経験のある業者に相談しましょう。

●●民間活用型補助（地域創生推進交付金等）も視野に

あまり知られていないものの、実は国が支援する「民間まちづくり型」の補助制度も、古民家リノベーションで活用できることがあります。たとえば、地域創生推進交付金や空き家活用型地域活性化事業などでは、個人所有の古民家を地域資源として再活用するプロジェクトに対して、地域団体やNPOを通じて補助が出るケースがあります。

これらの制度は一般向けの公募ではなく、行政や自治体と連携して動くタイプの支援ですが「古民家を活用してカフェや工房を開きたい」「地域交流の場として活用したい」といった公共性のあるプランには追い風となります。

少し視点を広げることで、通常の住宅リフォーム支援とは異なるルートからも支援を得られる可能性があります。企画段階で「地域貢献性」や「利活用の社会的価値」を意識すると、思わぬ助成が得られることもあります。

補助金を味方に、理想の古民家再生を現実に

古民家リノベーションは、単なる住宅改修ではなく、地域の歴史や文化を次世代につなぐ大切な取り組みでもあります。とはいえ、構造補強や断熱工事などにかかる費用は決して小さくありません。

だからこそ、自治体や国の補助制度を上手に活用することで、費用負担を抑えつつ、質の高い再生工事を実現することができます。

北九州エリアには、住宅リフォーム支援制度をはじめ、耐震改修、地域移住支援など、多角的に活用できる補助金が整っています。

しっかりと情報を整理し、工事の内容や目的に応じた制度を選ぶことで、あなたの理想の古民家暮らしがより確かなかたちで実現するはずです。

【ベストホームで始める】北九州・古民家リノベの補助金申請は今がチャンス！

北九州で古民家を再生したい――でも「耐震補強や断熱改修に思ったより費用がかかる」と悩む方は少なくありません。2025年は市の住宅リフォーム支援、県の木造住宅耐震改修、空き家活用型の移住促進補助など、古民家向けメニューがそろう好機です。

性能向上（耐震・省エネ・バリアフリー）を伴う工事なら補助対象になりやすく、併用で100万円超の支援も珍しくありません。ただし着工後の申請はNG、申請様式や業者要件も制度ごとに違うため、計画段階からプロの伴走が必須です。

ベストホームは北九州の補助制度と伝統構法に精通した建築士が、現地調査→見積→書類作成→行政対応まで一括サポート。歴史ある梁や土壁を活かしつつ、耐震・断熱・防蟻をクリアする最適プランをご提案します。補助金審査で高評価を得るポイントも熟知しているので、自己負担を最小限に抑えながら理想の古民家暮らしを実現できます。

お問い合わせは問い合わせフォーム、メール、電話のいずれでも歓迎。古民家パーツの実物展示や断熱モデルが見られるショールーム来店もおすすめです。北九州で「補助金を味方にした賢い古民家再生」は、ベストホームにお任せください。

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この記事を書いた人

代表取締役　戸髙　勇樹

保有資格：外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者

業界歴・経歴：約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。

出身地：北九州市小倉北区

コメント：創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
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