2025/07/01

戸建て住宅の外壁で多く使われているサイディング。見た目が美しく、施工性にも優れた素材ですが、10年を超えると色あせやひび割れなどの劣化症状が目立ち始めます。いざ塗り替えを考えても「どんな塗料がサイディングに合うのか」「クリヤー塗装ってなに？」「施工時の注意点は？」といった疑問が次々に湧いてくるものです。

実は、サイディング外壁は塗料選びを間違えると、密着不良や早期剥離などのトラブルに直結します。塗料の性能だけでなく、素材との相性や施工タイミング、劣化状態の見極めがとても重要なのです。

今回のお役立ちコラムでは「サイディングの塗り替えとおすすめ塗料」について解説します。

サイディング外壁とは？塗り替えが必要な理由

現在の住宅において主流となっているサイディング外壁。工場で均一に加工されたパネルを張り付ける方式のため、仕上がりが安定し、コストや工期の面でも優れたメリットを持ちます。しかし、サイディングは半永久素材ではなく、表面の塗膜が劣化すれば、防水性能も一気に低下してしまいます。

とくに北九州のように雨が多く湿度が高い地域では、外壁の劣化スピードも早まりがち。外観の美しさを保つだけでなく、住宅を長持ちさせるためにも、適切なタイミングでの塗り替えが求められます。まずは、サイディングの種類や劣化サインを正しく理解することが第一歩です。

●●サイディングの種類と特徴（窯業系・金属系など）

サイディングと一口に言っても、実は素材によっていくつかの種類があります。もっとも一般的なのが「窯業系サイディング」で、セメント質と繊維質を混ぜた板材を使用しています。表面に意匠性の高い加工がされており、デザインの自由度が高いのが特長です。

一方、近年人気が高まっている「金属系サイディング」は、ガルバリウム鋼板などの金属を用いた軽量タイプ。断熱材と一体型になっているものも多く、耐久性や省エネ性能に優れています。ただし、いずれも表面の塗膜が劣化すれば、防水性や美観を保てなくなります。

素材によって適する塗料や下地処理が異なるため、種類ごとの特徴を知ることは塗り替え成功の前提条件です。

●●塗り替えのサインと劣化症状（チョーキング・目地割れなど）

サイディング外壁に塗り替えのタイミングが来たかどうかを判断するには、いくつかの劣化サインに注目しましょう。代表的なサインが「チョーキング現象」です。これは、外壁を手でこすったときに白い粉がつく現象で、塗膜の劣化が進んでいる証拠です。

また、サイディングの目地部分に充填されているコーキング材（シーリング）の割れや剥がれも見逃せません。これが劣化していると、隙間から雨水が侵入し、内部の腐食や雨漏りにつながる恐れがあります。

他にも、塗膜の剥がれ、変色、ひび割れなどは、早急な対応が必要な劣化のサインです。放置すると塗装では済まなくなり、張り替えという大掛かりな工事が必要になることもあります。

●●再塗装が必要なタイミングと地域ごとの違い

サイディングの塗り替えは、おおよそ10〜15年ごとが目安とされていますが、これはあくまで目安であり、地域の気候条件によって変動します。たとえば北九州のように雨が多く湿度が高いエリアでは、外壁の劣化が早く進む傾向があり、10年を過ぎたあたりで一度点検を受けることが望ましいです。

また、住宅が海に近い地域にある場合は、塩害による金属腐食や塗膜劣化のリスクも考慮しなければなりません。外壁の方角によっても日射や風雨の影響が異なるため、全面同時に劣化するわけではなく、部分的に早く傷むケースもあります。

定期的なプロの点検と、地域の気候特性に合わせたメンテナンス計画が、後悔のない塗り替えのカギとなります。

塗り替えで後悔しないための塗料選び

サイディング外壁の塗り替えでは、ただ高機能な塗料を選べば良いというわけではありません。塗料にはそれぞれ特徴があり、施工する外壁の状態や目的、そして予算に応じて選定することが重要です。とくにサイディングの場合、塗料の密着性や柔軟性が仕上がりを大きく左右します。

また、劣化状況によっては使えない塗料もあり、たとえば人気の高い「クリヤー塗料」は、すべてのサイディングに対応できるわけではありません。ここでは、主な塗料の種類や、サイディングにおすすめの製品、避けるべき塗料選びの落とし穴について整理していきます。

●●塗料の種類別比較（アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機）

外壁塗装で使われる塗料は、大きく分けて「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」「無機」の5タイプに分類されます。それぞれ耐久性・価格・施工性に違いがあり、以下のような特徴があります。

・アクリル系：価格は安価だが耐用年数が短め（5〜7年程度）
・ウレタン系：柔軟性があり、細部塗装に適している（7〜10年）
・シリコン系：コスパに優れ、住宅塗装の定番（10〜13年）
・フッ素系：高耐候で紫外線に強く、価格も高め（15年超）
・無機系：耐久性は最長クラス。防汚性も高く、20年近く保つ場合も

サイディング外壁には、価格と性能のバランスが取れた「シリコン系」や「フッ素系」がよく選ばれています。一方で、アクリルやウレタンは長期的に見ると再塗装の頻度が増すため、ライフサイクルコストでの判断が重要です。

●●サイディングにおすすめの塗料と選定ポイント

サイディング外壁には「密着性の高い水性塗料」や「可とう性（柔らかさ）のある塗料」が適しています。特に窯業系サイディングは熱膨張・収縮を繰り返すため、塗膜に追従性がないとひび割れや剥離の原因になります。以下の点を意識して選ぶのがポイントです。

・水性シリコン or 水性フッ素（臭いが少なく、下地に優しい）
・ラジカル制御型塗料（紫外線に強く、チョーキングを抑える）
・柔軟性が高く、サイディングの動きに追従するタイプ

近年では、ラジカル制御技術を取り入れた塗料が人気で、価格は中〜高めながら10〜15年の耐久性が見込めます。また、塗膜の劣化が視認しやすいことも、点検やメンテナンスの面でメリットとなります。事前に劣化状況を見極め、下地に適合する製品を選ぶことが成功への近道です。

●●注意！「クリヤー塗料」が使えないケースとは？

既存のサイディングデザインを残したい方に人気の「クリヤー塗料（透明塗料）」ですが、使える条件には制限があります。もっとも重要なのは、チョーキング現象が起きていないこと。表面が劣化して白く粉を吹いている状態では、クリヤー塗料は密着せず、早期剥離のリスクが高まります。

また、コケや藻が発生していた外壁も、完全な洗浄・処理がされていなければ、透明な塗膜越しに汚れが浮き出てしまうため美観が損なわれます。さらに、シーリングの補修跡が目立ちやすいため、打ち替え箇所の色調整が必要なこともあります。

クリヤー塗料はあくまで「意匠性が残っている、軽度劣化の壁面向け」と覚えておきましょう。判断に迷った場合は、塗装業者に劣化診断を依頼し、適用の可否を確認するのが安心です。

塗装前に絶対押さえるべき注意点と下地処理

塗り替え工事において「どんな塗料を選ぶか」は確かに大事ですが、それと同じくらい重要なのが、塗る前の準備＝下地処理と周辺の補修です。どれほど高性能な塗料を使っても、下地の状態が悪ければ、塗膜の密着不良や早期劣化といった問題が避けられません。

とくにサイディング外壁は目地（シーリング）や塗膜の剥離など、見た目では分かりにくい箇所に劣化が進行しているケースが多く、施工前の診断と丁寧な処理が欠かせません。このセクションでは、見落としがちな注意点を3つに分けて整理していきます。

●●目地シーリングの打替えは必須作業

サイディング外壁には必ず「目地」と呼ばれる継ぎ目が存在し、その部分には防水・緩衝の役割を持つシーリング材（コーキング）が充填されています。実はこの目地の劣化が、外壁の寿命を大きく左右するポイントとなるのです。

シーリングが硬化してヒビが入ったり、隙間ができたりすると、そこから雨水が内部へと侵入し、サイディング本体の反り・膨れ・腐食を引き起こします。見た目にはまだ塗装が持ちそうに見えても、シーリングが限界を迎えていれば、それだけで住宅の防水機能は破綻していると言っても過言ではありません。

したがって、塗装工事の際には目地シーリングの打ち替えが原則。既存のシーリングを撤去し、新たに施工することで、防水性を復活させます。「増し打ち」（上塗りだけ）では十分な効果が得られない場合が多く、後悔の原因となるため注意が必要です。

●●下地調査・高圧洗浄・補修の重要性

塗装の前には、塗る準備としてさまざまな処理を行う必要があります。まずは現地での下地調査。ここでは、ひび割れ、浮き、膨れ、チョーキング（白化現象）、カビや藻の付着などがあるかどうかをチェックします。とくに北九州のような湿潤地域では、目に見えないカビの根が深く入り込んでいることもあるため、入念な確認が不可欠です。

次に行うのが高圧洗浄です。表面の汚れやカビ、古い塗膜の劣化粉を取り除くことで、新しい塗料がしっかりと密着できる状態を整えます。この工程が不十分だと、塗膜が浮きやすくなり、わずか数年で再塗装が必要になることもあります。

また、サイディングの板が浮いている場合や釘のゆるみ、クラック（ひび割れ）などが見つかった際は、補修を行ってからでないと塗装できません。「塗るだけで終わらない」のが、サイディング塗装の鉄則です。

●●塗装NGなケースと張替えが必要な場合

外壁塗装は万能ではありません。状態によっては、もはや塗るだけでは対応できないケースも存在します。たとえば、サイディング自体が反っていたり、内部まで水分が回ってボロボロになっていたりする場合は、いくら高性能な塗料でも改善できません。

このような場合には塗装ではなく「外壁張り替え」や「カバー工法」といった選択肢を検討する必要があります。無理に塗ってもすぐに塗膜が剥がれてしまい、かえって費用の無駄になるだけでなく、建物の劣化を早めてしまうこともあるからです。

また、築年数が25年以上で一度も張り替えを行っていない場合や、塗装歴がなく明らかに外壁が傷んでいる場合なども、塗装が延命措置として機能しないことがあります。「まず塗る前提で考えない」という姿勢が、かえって的確な判断につながるのです。

適切な塗料と施工でサイディングを長寿命に

サイディング外壁の塗り替えを成功させるには「どの塗料が人気か」よりも「自宅の劣化状況と外壁材に合った塗料か」を見極めることが重要です。見た目を美しく保つための塗装も、下地処理やシーリングの状態、素材との相性を無視しては本来の性能を発揮できません。

また、塗料の選定だけでなく、塗装前の診断や補修工程、さらには「そもそも塗装で済む状態かどうか」といった判断まで含めて、適切に進める必要があります。
費用をかけるからこそ、正しい知識と判断で後悔のないリフォームを目指しましょう。

【ベストホームへ今すぐ相談】北九州で“失敗しないサイディング塗り替え”を実現するラストステップ

北九州の高湿度と塩風は、サイディング外壁の寿命を静かに縮めます。色あせやチョーキング、目地割れといった劣化サインを見逃さず、外壁材に合った塗料と正しい下地処理を行えば、再塗装周期をのばし住宅価値を守れます。

とはいえ劣化の程度や既存塗膜の仕様、シーリングの状態は一邸ごとに異なるため、専門家による現地診断が不可欠です。ベストホームでは、窯業系・金属系サイディングそれぞれの特性に合わせた塗料と施工フローを、建材メーカーの推奨仕様に沿って個別提案。診断結果は写真付きレポートで共有し、費用対効果を見える化します。

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「そろそろ塗り替えどき？」という疑問こそ行動のタイミングです。北九州での外壁メンテナンスは、信頼と実績のベストホームがトータルサポートします。まずはお気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

代表取締役　戸髙　勇樹

保有資格：外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者

業界歴・経歴：約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。

出身地：北九州市小倉北区

コメント：創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
塗装工事はどの業者に頼まれても塗ったばかりはキレイだと思います。塗装工事で差が出るのは〈数年後〉です。塗装工事を行い数年経過しないと適正な工事をしたのかがわからない、ここが塗装業者選びの難しいところです。塗装の高品質団体プロタイムズは『社会に貢献できる塗装・社会に誇れる塗装』をご提供させていただきますので、塗装工事でお悩みの際はお気軽にご相談ください。