2025/07/04

築50年以上の木造住宅、いわゆる「古民家」は、独特の趣と風合いが魅力です。しかし、現代の暮らしに合った快適さを求めるうえで、どうしても気になるのが断熱性能の低さと外壁の劣化です。
とくに冬の寒さ・夏の暑さは、断熱が不十分な建物にとって大きな問題。そこに加えて外壁の傷みが進行していると、住み心地だけでなく、建物自体の寿命にも影響が出てきます。
今回のお役立ちコラムでは「古民家リフォームで快適な暮らしを実現するための外壁断熱と塗装のノウハウ」について解説します。
なぜ古民家は「暑い・寒い」のか?断熱性能の弱点を知る

古民家特有の涼しさや風通しの良さは、夏場には魅力に感じられます。しかし裏を返せば、それは断熱材がほとんど使われていないということでもあり、冬になると一転して寒さの厳しい住空間になってしまいます。
さらに築年数の経過により、外壁や床下からのすき間風、湿気、熱損失も多く、快適な室温の維持が難しい状態になっていることも少なくありません。
そうした古民家の構造的な「断熱の弱点」を3つの観点から解説します。
●●伝統工法がかかえる断熱構造の限界
古民家の多くは、伝統的な「在来工法」によって建てられています。土壁や漆喰壁、真壁造(柱が露出する構造)などは、湿度調整や耐久性に優れていますが、断熱材が使われていないことが一般的です。
そのため、外気温の影響をダイレクトに受けやすく、室内の暖気・冷気もすぐに逃げてしまう構造となっているのです。また、床下や天井も断熱が施されていないケースが多く、冷気の侵入と熱の流出がセットで起こるため、冷暖房の効率が極端に落ちてしまいます。
もともと夏の暑さ対策として風通しを重視して設計されているため「断熱性を持たせる」ことはそもそも設計思想の外にあったのです。
●●壁・窓・床下の中で、外壁の断熱が最重要な理由
住宅の断熱性を高める際、どこを優先すべきかという点で、外壁は非常に重要なポジションにあります。窓や床下からも熱は逃げますが、家全体の中で最も広い面積を占めるのが外壁であり、外気との接触が長時間続くため、放熱・吸熱の量も多くなります。
実際、断熱改修においては「外壁断熱だけで室温の快適性が大きく改善された」という事例も多数あります。特に北九州のように冬の冷え込みと夏の蒸し暑さが入り混じる地域では、年間を通して効果が実感できる外壁断熱のメリットは非常に大きいといえるでしょう。
外壁に断熱材を加えることは、熱損失を抑えつつ、建物の保護性能も高める一石二鳥の工事なのです。
●●断熱不足がもたらす健康・光熱費への影響
断熱が不十分な住宅に住み続けると、健康面や家計にも悪影響が及びます。たとえば、冬場の寒暖差によって「ヒートショック」が発生しやすくなり、高齢者のいる家庭では特に注意が必要です。
また、夏は室温が上がりやすく、冷房効率も下がるため、電気代が高騰しやすくなる傾向があります。
さらに、結露やカビの発生も無視できません。これは断熱不足による室内外の温度差で起きるもので、住環境の衛生面や建材の劣化を早める要因にもなります。
結果的に「快適に暮らせない」「何度も修理が必要になる」といった問題に発展しやすく、住まい全体の寿命にも関わってくるのです。
古民家における外壁断熱リフォームの進め方

古民家を現代的な快適住宅に変えるうえで、外壁の断熱改修は非常に効果的なアプローチです。しかし、建物の構造が現在の住宅と大きく異なるため、やみくもに断熱材を入れればよいというわけではありません。
むしろ、施工方法を間違えると通気性や構造に悪影響を及ぼし、湿気や腐食を招く可能性もあります。
古民家における外壁断熱の基本的な進め方と、実際の施工で押さえるべきポイントを解説します。
●●内断熱と外断熱、それぞれの特徴と施工注意点
外壁断熱には大きく分けて「内断熱(充填断熱)」と「外断熱(外張り断熱)」の2方式があります。古民家リフォームでは、建物の状態や意匠性の維持を考慮し、どちらを採用するかが重要な分岐点になります。
内断熱は壁の内側に断熱材を充填する方法で、施工が比較的簡単で費用も抑えやすいですが、壁内の通気を妨げて結露を起こすリスクがあります。また、土壁や真壁構造では、柱や梁の露出を損なうこともあるため、仕上がりに注意が必要です。
一方で外断熱は、建物外側から断熱材を貼る方式で、熱橋(ヒートブリッジ)を減らし、室内空間を犠牲にせず断熱性能を高められるのがメリットです。ただし、外観が変わる、施工コストがやや高くなるという点もあります。
どちらを採用するかは、建物の状態・デザイン・予算・断熱性能の要求水準を踏まえ、設計段階から専門家と相談しながら決めるのが理想です。
●●断熱材の種類と選び方(グラスウール・硬質ウレタン・自然素材など)
断熱性能を高めるうえで使う材料にもさまざまな種類があります。最も一般的なのがグラスウールで、価格が手ごろで施工性にも優れているため、多くの住宅で採用されています。ただし、湿気に弱く、古民家のように通気が多い構造では防湿対策をしっかり行う必要があります。
次に、硬質ウレタンフォーム(ボード状)や吹付ウレタンは、断熱性・気密性に優れており、外張り断熱などにも向いています。古民家の外壁を現代的に包み込む設計をする場合によく使われます。
また、自然素材系の断熱材としてセルロースファイバーや炭化コルク、羊毛なども注目されています。調湿性に優れ、土壁や木材と相性がよいため、古民家の素材感を活かしたいケースでは選択肢に入ります。
コスト・断熱性能・素材との相性を見ながら、部分ごとに断熱材を使い分けるという手法も効果的です。
●●外壁断熱リフォームの費用相場と補助金活用の可能性
古民家の外壁断熱リフォームにかかる費用は、建物の規模や施工方法によって異なりますが、1㎡あたり1.5〜3万円前後が目安です。たとえば、30坪(約100㎡)規模の外壁で外断熱工事を行う場合、150万〜300万円前後の予算が必要になることもあります。
これに加えて、劣化部分の補修や塗装などを同時に行うケースでは、総額がさらに増えるため、補助金制度の活用が非常に重要です。北九州市や福岡県では、省エネ改修・耐震改修・空き家活用などの目的で補助が出ることがあり、国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」なども視野に入ります。
制度ごとに対象要件や申請タイミングが異なるため、計画段階から補助金対応の実績がある業者に相談するのがベストです。適切に活用できれば、工事費の1/3〜1/2程度を軽減できる可能性もあります。
断熱とセットで考える外壁塗装の重要性

古民家の外壁断熱を検討する際、忘れてはならないのが「塗装」との組み合わせです。断熱材を入れただけでは、外部からの雨・紫外線・風などのダメージにさらされやすくなります。
外壁塗装は、断熱性能を保ちつつ、建物の美観と耐久性を維持するために欠かせない仕上げ工程です。
断熱との相乗効果を最大化する塗装の役割と、塗料の選び方、実際の暮らしにどう影響するかについて詳しく解説します。
●●塗装で防げる劣化症状とメンテナンス効果
古民家の外壁は、長年の風雨や紫外線で劣化が進みやすく、クラック(ひび割れ)、チョーキング(粉吹き)、苔やカビの発生といった症状が現れやすい状態にあります。こうした劣化は、断熱リフォーム後にも放置すれば再び外壁全体の寿命を縮めてしまいます。
外壁塗装には、防水性・耐候性・防汚性を高めるという役割があり、特に雨の多い地域や日差しの強い場所では、その効果が実感しやすくなります。また、外壁の素材(木部・モルタル・漆喰など)によって適した塗料が異なるため、素材との相性を見極めた塗装計画も必要です。
断熱材を施工した外壁をしっかりと塗装でカバーすることで、仕上がりの美しさと長寿命化の両立が可能になります。
●●断熱塗料・遮熱塗料の性能と向いているケース
塗料にも「断熱機能」を持つものがあります。代表的なものが、セラミック系の断熱塗料や高反射性の遮熱塗料です。これらは塗膜に熱伝導を抑える微細構造を持ち、外気温の影響を軽減する働きがあります。
特に遮熱塗料は、夏場の屋根や外壁の表面温度を下げる効果が高く、エアコン負荷の軽減にもつながります。一方、冬の保温性を求めるなら、内断熱+断熱塗料の組み合わせが有効です。
ただし、断熱塗料だけでフル断熱効果を得ることは難しく、あくまで補助的な役割として考えるべきです。構造断熱+機能性塗料のハイブリッド施工が、コストと効果のバランスを取るうえで現実的な選択肢となります。
●●断熱+塗装で暮らしがどう変わるか(体感温度・電気代・資産価値)
外壁断熱+塗装リフォームを実施した場合、居住空間の快適性が飛躍的に向上します。まず大きな変化として体感温度が安定し、夏の室温上昇・冬の底冷えが軽減されることで、冷暖房の効率がアップします。
その結果、年間の光熱費が20〜30%削減できたという報告もあり、家計にも優しいリフォームとなります。
さらに、結露の減少やカビ発生の抑制によって、健康面での安心感も高まります。見た目の美しさも向上し、建物全体の印象が良くなるため、資産価値の維持・向上にもつながるのが大きな魅力です。
古民家という伝統的な住まいに、快適さと現代的な機能性を両立させるには、断熱と塗装の両面からアプローチすることが不可欠です。
古民家でも「一年中快適」はつくれる

古民家リフォームにおいて「寒さ・暑さ」への対応は後回しにされがちですが、実は快適な住まいづくりの土台となる重要なテーマです。とくに外壁部分の断熱と塗装を丁寧に施すことで、室温の安定、結露や劣化の防止、そして光熱費の節約にも大きく貢献します。
伝統構法を残しながらも、現代の機能性を取り入れる工事には工夫が必要ですが、適切な断熱材や塗料を選び、外壁全体を一体的に見直すことで「見た目の美しさ」と「快適性」を両立した古民家リフォームが実現可能です。
補助金制度を活用すれば、費用面のハードルも下がります。断熱と塗装、この2つを軸に、長く心地よく住み続けられる家づくりを目指しましょう。
【ベストホームへ今すぐ相談】外壁断熱+塗装で古民家を“一年中快適空間”にアップグレード
北九州の古民家でも、外壁断熱と機能性塗装をセットで施工すれば、冬の底冷えや夏の蒸し暑さを大幅に軽減できることが実証されています。
断熱材で熱の出入りを抑え、遮熱・防水機能を備えた塗膜で湿気と紫外線をガードすれば、室温は安定し結露・カビも激減。光熱費は年間で約20〜30%削減の事例もあり、住み心地と家計の両面にメリットが生まれます。
さらに塗装で外観を整えることで、資産価値の維持向上と景観保全にもつながり、北九州らしい歴史の趣を活かしたまま長寿命化が実現します。
- 補助金対応:省エネ・耐震改修を併用すれば、工事費の1/3〜1/2を軽減できる可能性。
- 一括サポート:ベストホームが現地調査→設計→補助金書類作成までワンストップで対応。
「まずは費用感を知りたい」「断熱材と塗料の最適な組み合わせが分からない」という方は、問い合わせフォームからのお問い合わせ、メール、電話でのご相談をお気軽に。
古民家の梁や土壁サンプル、断熱モデルが体感できるショールームへの来店も大歓迎です。北九州で快適な古民家暮らしを叶えるなら、ベストホームが最後まで伴走します。
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この記事を書いた人
代表取締役 戸髙 勇樹
保有資格:外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者
業界歴・経歴:約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。
出身地:北九州市小倉北区
コメント:創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
塗装工事はどの業者に頼まれても塗ったばかりはキレイだと思います。塗装工事で差が出るのは〈数年後〉です。塗装工事を行い数年経過しないと適正な工事をしたのかがわからない、ここが塗装業者選びの難しいところです。塗装の高品質団体プロタイムズは『社会に貢献できる塗装・社会に誇れる塗装』をご提供させていただきますので、塗装工事でお悩みの際はお気軽にご相談ください。
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